パティシエが教える原因別対処法と予防テクニック
- 作ったガナッシュが分離してしまった!
- どうも状態が悪い…
- チョコレートクリームにチョコのつぶつぶが残ってしまった!
ガナッシュやチョコレートクリームの分離は、お菓子作りをしている際かなりの確率でぶつかる問題です。
ただでさえ高価なチョコレート、無駄にしたくありませんよね。
この記事では、分離の根本的な原因から具体的な復活方法、さらには失敗を防ぐプロのテクニックまで、詳しく解説していきます。

だって捨ててしまうのはもったいないですもんね…
まず理解したい、分離のメカニズムと原因
分離が起こる科学的な理由
ガナッシュの分離は「乳化の破綻」です。チョコレートの油分と生クリームの水分が適切に結合できない状態で、見た目にも口当たりにも大きく影響します。
主な原因と見分け方
主な原因とその見分け方を4つご紹介します。

1.温度管理の失敗(最も多い例)
症状:油分が分離して表面に浮く
原因:生クリームが熱すぎる、またはチョコレートが冷たすぎる
見分け方:ギラギラした油膜が見える
2.水分の混入(致命的)

湯せんなどで水が入ってしまうのはありがちですが、水が入ってしまうとどう頑張っても戻りません!
症状:完全に分離し、水っぽい層ができる
原因:湯煎の水滴が混入、道具に水分が残っている
見分け方:明らかに水と油が分かれている
3.技術の問題
症状:チョコレートの粒々が残る
原因:混ぜ不足、または過剰に混ぜた結果による乳化の破綻
見分け方:ザラザラした質感
4.材料の品質・配合比の問題
症状:なめらかにならない、固すぎる
原因:クーベルチュールではないチョコレートの使用、または配合の割合が合っていない
見分け方:全体的にまとまりが悪い
症状別復活テクニック
さきほど紹介した症状に合わせて、おすすめの対処法をひとつずつ紹介していきます。
「なんかうちのガナッシュ、これっぽいな…」と思ったら、該当する方法を試してみてくださいね。
温度や混ぜ方をちょっと変えるだけで、意外とあっさり復活することもあります!

「分離した…!」と思ったら試したい温度の工夫
「あれ、分離してるかも…」と思ったら、まずは温度チェック。
実は、ちょっと冷めすぎていたり、逆に温めすぎていたりするだけでガナッシュは分離しやすくなります。
そんなときは、温度計で30〜35℃くらいを目安に再調整。
しっかり温度を見ながら混ぜ直せば、意外と簡単に元に戻りますよ◎
- 40~50℃の湯煎で底面を軽く温める
- ホイッパーで中心から外側へ「の」字を描くように静かに混ぜる
- 温めすぎ注意!10秒温めて10秒混ぜるを繰り返す
湯煎の温度が上がってしまったら、ボールを一度お湯から外しましょう。
- 人肌程度(35~40℃)の生クリームを大さじ1杯から少しずつ追加
- 一度に大量に入れず、乳化を確認しながら進める

ていねいに、ていねいに
指先の感覚だけではわかりにくいので、デジタル温度計があると安心。
数秒で測れて、温めすぎも防げるので、1本持っておくとチョコ作りがグッと安定します。
おすすめ温度計はこちら
【つぶつぶレスキュー】ミキサーで一発解決!
- 分離したガナッシュを深めのボウルに移す
- ハンドブレンダーで15~20秒間、上下に動かしながら撹拌
- 空気の巻き込みを最小限に抑えるため、ブレンダーを完全に沈める
単純に混ぜ不足でしっかり乳化できていないだけなら、ハンドブレンダーを使って混ぜてあげると繋がります。
- より頑固な分離に有効
- 10秒刻みで様子を見ながら処理
- 空気が入りやすいので最終手段として
ほぼ一緒ですがフードプロセッサーに入れて混ぜてしまいます。
ハンドブレンダーより空気が入ってしまいがちですが、手で混ぜていくよりはラクです。
あまり状態が変わらない時は少し生クリームを足してあげても。

チョコレートがきちんと乳化したら見た目でわかるくらいきれいなツヤが出てくるよ!
【失敗ガナッシュ】セカンドチャンス大作戦!
分離してしまったガナッシュでも、一部を先に乳化させてから少しずつ全体になじませていくことで、元のなめらかさを取り戻せる可能性があります。
以下の手順に沿ってやってみましょう。
- 分離したクリームの1/3を別容器に取る
- 湯煎で完全に溶かす
- 残りの2/3に少しずつ混ぜ戻す
この工程をていねいに行えば、分離していたガナッシュも驚くほどなめらかに復活することもあります。
焦らず、少しずつ乳化させていくのが成功のカギです。
ぜひセカンドチャンスで、美しいガナッシュを取り戻してくださいね。
チョコの種類別レスキューテクニック
チョコレートの種類別にレスキューテクニックをまとめてみました。
種類ごとに合った方法があります。
ぜひ試してみてください。

- より低い温度(30~35℃)での作業が必要
- 最も分離しやすいため、生クリームは少量ずつ段階的に加える
- 復活時は特に慎重に→温めすぎると完全に固まってしまう
- バニラオイル等の香料は最後に追加
- 糖分が多く比較的分離しにくい
- 復活も比較的容易で初心者向け
- 温度は40~45℃程度で大丈夫
- 甘すぎる場合は無糖ココアパウダーを少量追加で調整
- 最もバランスが良く扱いやすい
- 基本の復活方法がそのまま適用できる
- 生クリームとの配合比は1:1が基本
- 失敗した際の汎用性も高い
- 油分が多いため温度管理が最も重要
- 生クリームの配合比を増やす(通常の1.2倍程度)
- 湯煎温度は45℃以下を厳守
- 分離した場合は温度を下げてから修復作業を開始
チョコレートクリームを復活させる
チョコレートのホイップクリームの復活方法です。

湯せんで温めながら混ぜる
ガナッシュのやり方と一緒です。
ただ、チョコレートクリームの場合はゴムベラで優しく混ぜていきましょう。
少量をとって湯せんで溶かし、元のクリームに戻して混ぜる。
こちらもガナッシュのやり方とほぼ同じですね。
少し温まったクリームで、直接混ざっているチョコレートを溶かしていく方法です。
こちらもゴムベラで優しく混ぜていきます。
どうしても復活できない場合の活用法

何をしても戻ってくれない時も残念ながらあります。
復活できない時の対処法
そんなときは
ブラウニー・パウンドケーキ
- 刻んでチョコチップとして活用
- 焼成により質感の問題はクリア
- むしろリッチな食感を演出
一度固めたものを刻んでクッキーやパウンドケーキ、ブラウニーなどに加えます。
焼いてしまえばザラザラ感はわからないし、少し溶けかけたチョコレートがリッチな感じになります。
【ダブルチョコブラウニーのレシピも紹介しています→リッチなダブルチョコレートブラウニー】
- 常温で柔らかくしてから混合
- 個性的な風味と食感を味わえる
ナッツなどと一緒に加えてもいいですね。
流行りのチョコチャンククッキーにも!
- ホットチョコレート
- 温めたミルクでなめらかに整える
分離していても味は変わらず美味しい
スパイス(シナモン、カルダモン)で風味アップ
- 細かく刻んだチョコレートを追加
- つぶつぶ感を活かしてチョコチップクリームに変身
- 食感のアクセントとして楽しめる
ぼそぼそに固まってしまったときは食パンに塗って焼いて食べてしまうなどもありです。
プロ直伝!失敗しないためのテクニック
チョコがよろこぶ環境づくり
- 作業台の温度:20~25℃が理想
湿度管理:60%以下を維持
道具の準備:清潔&完全に乾かした器具の準備
成功のためのゴールデンプロセス
温度の黄金ルール
- 生クリーム:80~85℃(沸騰直前)
- チョコレート:室温(20~25℃)
- 作業環境:一定温度の維持
なめらかになる魔法のまぜ方
- 生クリームを注いだら30秒待つ
- 中心から外側へゆっくり混ぜ始める
- ツヤが出たら本格的に混ぜ始める
- 混ぜすぎは避け、ゴムベラに持ち替えて乳化したらすぐ終了

材料を選ぶコツ
チョコレート
クーベルチュールを使うのがマスト
- カカオ分による配合調整
- ホワイトチョコ:生クリーム1.3:チョコ1
- ミルク(30-40%):生クリーム1.2:チョコ1
- スイート(50-60%):生クリーム1:チョコ1
- ハイカカオ(70%以上):生クリーム1:チョコ1.2
生クリーム
- 脂肪分35%以上を使用
- 植物性は避け、動物性を選択
- 開封後は早めに使用
やっぱり道具に頼りたくなる
やはり持っていて間違いないのはハンドブレンダー
- 時間短縮できる!→ケーキ作りの効率化
- ムラなく混ざる!→触りすぎての分離を防げる
- きちんと乳化できる!→口当たりなめらかガナッシュが簡単に作れる
私がおすすめする一番の理由は「時間短縮」です。
沸騰した生クリームや牛乳を注いで少し放置した後、ハンドブレンダーで回してしまえばガナッシュの出来上がり。
失敗するリスクはかなり低くなるし、他の作業にとりかかるのも早くなるのでその分時間を有効に使えます。
有名なパティシエの方々も当然のように使っています。(チョコレートの講習会では必ず登場します)
業務用でよく見かけるのはブラウン。
クイジナートも。
ガナッシュ作りだけではなく、料理にも幅広く使えるので持っていて損はしないですね。
離乳食作りに使う主婦の方も増えているようです。
最近ではコードレスタイプのものも!!
デザインもカッコいいし、コードが引っかかったり汚れたりする心配もないですね。
まとめ 失敗を恐れずチャレンジを

ガナッシュの分離は誰もが通る道です。原因を理解し、適切な対処法を知っていれば、ほとんどの場合復活可能です。
最悪の場合でも、様々な活用法で無駄になることはありません。
高価な材料を使うからこそ、失敗を恐れず、むしろ学びの機会として捉えることが上達への近道です。
この記事の方法を参考に、ぜひ理想のガナッシュ作りにチャレンジしてください。
- 水分混入は完全復活困難→予防が最重要
- 温度管理が成功の8割を決める
- 機械(ハンドブレンダー)の力を借りることを躊躇わない
- 失敗も含めて楽しむ心構えが一番大切
もう一つ、加えるとすれば
ひとつのレシピを使いまわすこともやめましょう
☞ガナッシュの配合を全くいじらずに、色々なカカオ分のチョコレートに置き換えて作るのも失敗のもとです。
これ、気づかぬうちにやってしまう方も多いのではないでしょうか?
チョコレートをだいたい4種類に分けてガナッシュの配合を紹介した記事がありますのでチェックしてみてください。
こちらの記事をチェック☟

こっちもチェック!

いかがでしたでしょうか?
そんなこと知ってるし。もう試したし。。という方法もあったかもしれません。
またいい方法を見つけたら、追加していきたいと思います。

チョコレートは高価なので、あきらめたくありませんよね。
合わせて読みたい→ 失敗マカロンを再利用!簡単ラスク






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